ハマス・イスラエル戦争<一旦緩急あれば義勇公に奉じ>

 今回のハマス・イスラエル戦争に関して、先週7日(土曜日)当初の状況が分かってきました。興味深い点を御紹介します。

1 ハマスの作戦能力とインテリジェンス能力の高さ

 7日ハマスの戦闘員約2000人がイスラエル領内に進攻したのですが、ハマスは事前にイスラエル軍の状況と弱点を詳細に調査把握していました。そして、先ず、カメラ他の監視システムと通信システムをドローンなどを使用して破壊した上で、領内に進攻し、ガザ地区担当のイスラエル軍司令部を攻撃して当直将校など全員を殺害し、同時に、ガザ地区担当のインテリジェンス拠点を攻撃して占拠、更に境界沿いの基地8か所以上を攻撃占拠。その上で、ユダヤ人の一般住民の村々を襲撃して虐殺したのです。作戦能力も高いものがあります。

 イスラエル軍は、センサーを破壊され、ガザ担当の指揮中枢も情報中枢も破壊されてしまったため、参謀本部では現地の情勢が把握できず、当初、適切な指揮ができませんでした。

2 イスラエルの反撃。

 そういう状況で、イスラエル軍はどうやって反撃したのか。それは正に、将校兵士の個人のイニシアティブであったようです。非番の現役将校や兵士は、何も分からないまま取り敢えず、武器を持って自家用車でガザ地区に向かい、そこで、出会った他の将校や兵士と現場で部隊を編成し作戦を立て、即座に実行に移す。その中には、既に予備役年齢を過ぎた60才を越えた退役将軍もいたそうです。イスラエル・ツィヴという退役将軍や、ヤイール・ゴランという元参謀本部次長・元国会議員も銃を持って駆け付けたそうです。正規軍が派遣されるまで、そうやって戦闘、反撃をしたために、民間人の虐殺が1100人程度に留まったのです。

3 世界中から帰国するユダヤ人。

 イスラエルは小さな国ですから、海外にいるイスラエル国籍のユダヤ人も多くいます。その中で、予備役のユダヤ人は招集を受けて帰国して軍に馳せ参じていますが、招集は受けていないのに、且つ、生活の本拠をニューヨークなど海外においているにも拘わらず、(自分の子供には海外出張すると言って)帰国して軍に馳せ参じるユダヤ人も多くいるそうです。ヒットラーによるホロコーストを経験したユダヤ人は、国を失った民族の悲哀を二度と繰り返したくはないのです。

4 「一旦緩急あれば義勇公に奉じ」

 最近、戦前の教育勅語を再評価する動きがあります。教育勅語には現代に合わない点もあるけれど、大体において良い内容であるという評価の様です。ところで、「現代に合わない点」とは「一旦緩急あれば義勇公に奉じ」の部分だそうです。しかしユダヤ人は既述したように、ハマスによるテロ攻撃に対して「義勇公に奉じ」ているのです。実は、国民国家の国民にとって「一旦緩急あれば義勇公に奉じ」るのが最も重要かつ基本的な義務です。「一旦緩急あれば義勇公に奉じ」を否定する集団は、国民国家とは言えません。

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