岸田総理の2024.4.11米国議会演説に寄せて

 岸田総理は2024年4月11日米国議会で実に立派な演説をされました。私はこれ程の演説を岸田総理がするとは予想していませんでした。骨子を抜粋します。

〇 平和には「覚悟」(resolve)が必要です。米国は、自由と民主主義を擁護し(The U.S.…championed freedom and democracy)…貴い犠牲を払ってきました(it made noble sacrifices)。

〇 the people of Japan are with you, side by side, to assure survival of liberty.(日本国民は、自由の存続を確かなものとするために米国と共にあります。)

〇 Right now, Japanese and U.S. service members are working side by side to deter aggression and ensure peace. (今この瞬間も、任務を遂行する自衛隊と米軍の隊員たちは、侵略を抑止し、平和を確かなものとするため、足並みをそろえて努力してくれています。)

〇 On the spaceship called “Freedom and Democracy,” Japan is proud to be your shipmate. We are on deck, we are on task. And we are ready to do what is necessary. (「自由と民主主義」という名の宇宙船で、日本は米国の仲間の船員であることを誇りに思います。 共にデッキに立ち、任務に従事し、そして、なすべきことをする、その準備はできています。)

〇 I am here to say that Japan is already standing shoulder to shoulder with the United States. You are not alone. We are with you. (日本は既に、米国と肩を組んで共に立ち上がっています。 米国は独りではありません。 日本は米国と共にあります。)

〇 We have transformed ourselves from a reticent ally … to a strong, committed ally. (日本は…控えめな同盟国から、…強く、コミットした同盟国へと自らを変革してきました。)

〇 We first became a regional partner of the United States, and now we have become your global partner. (日本はかつて米国の地域パートナーでしたが、今やグローバルなパートナーとなったのです。)

〇 I want you to know how seriously Japan takes its role as the United States’ closest ally. (日本が米国の最も近い同盟国としての役割をどれほど真剣に受け止めているか。このことを、皆様に知っていただきたい と思います。)(邦訳は外務省の仮訳)

 大変立派な演説です。米国の同盟国としての決意と覚悟を語っています。

 さて、この演説を、知日派ではない一般の米国民はどう受け止めるでしょう。日本もやっと自由と民主主義を守るために、米国と共に世界で戦う決意を固めたと受け取るのではないでしょうか。英国並み、或いはNATO諸国並みの同盟国になる宣言と受け止められるのではないでしょうか。「自由と民主主義」を擁護する「グローバルなパートナー」として「強く、コミットした同盟国」と自己規定したのですから、「貴い犠牲」(≒戦死)を払う積りはないとは言えないでしょう。

 他方、我が国の現状を見ると、我が国自体の防衛に限定しても独力でも戦う覚悟があるのか、疑問があります。「軍隊擬き」の自衛隊を真の軍隊に改革する軍事法制の制定の動きはどこにも見られません。戦争遂行に不可欠なインテリジェス機関の整備も不透明です。まして、世界で米国と共に戦う(戦闘部隊を派遣する)覚悟など見られるでしょうか。

 米国民から「やるやる詐欺」と言われないように、覚悟を固める必要があるのではないでしょうか。

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